平成30年初場所の幕内上位力士と3つのスポット

相撲 2018年 01 月号 [別冊付録:初場所本物新番付] | 月刊相撲 編集部 |本 | 通販 | Amazon

今年も平成30114日に大相撲初場所が初日を迎え、また力士たちの白熱した相撲内容が土俵上で見られる機会がやってきました。

そこで、今回はこの初場所で前頭4枚目までの幕内上位力士の顔ぶれを紹介し、次に今場所で見どころになるかもしれない6人を3つのスポットに分けて紹介します。

平成30年初場所幕内上位の顔ぶれとは

まず、平成291226日に発表された、この初場所の番付のうち、幕内上位にあたる前頭4枚目までの番付を紹介したいと思います。

横綱は3人で、先場所141敗で40回目の幕内最高優勝を果たした宮城野部屋所属の白鵬関は東の正横綱に座りました。西の正横綱は、先場所も怪我で途中休場した田子ノ浦部屋所属の稀勢の里関です。東に座るもう1人は井筒部屋所属の鶴竜関で、先場所は怪我で全休していました。いずれも再起するかどうかの場所になりそうです。

大関の顔ぶれは先場所と同じで、東には境川部屋所属の豪栄道関、西には田子ノ浦部屋所属の高安関となりました。高安関は先場所も怪我で途中休場してしまいましたが、最終的には8勝を挙げて勝ち越しています。

関脇の2人には東に出羽の海部屋所属の御嶽海関、西に片男波部屋所属の玉鷲関となりました。玉鷲関は先場所11勝の好成績を収めて前頭筆頭から関脇に復帰しました。御嶽海関は今場所こそ関脇での2桁勝利を目指す場所になります。

小結の2人には東に貴乃花部屋所属の貴景勝関、西に阿武松部屋所属の阿武咲関の、平成8年生まれの若手2人となりました。貴景勝関は先場所11勝の好成績を収めて新三役昇進という形になりました。阿武咲関も新三役の場所だった先場所は8勝を挙げて勝ち越しており、共に期待される力士といえます。

ここからは前頭4枚目までの8人を紹介します。この8人は三役以上の番付の力士との取り組みが休場さえしなければ組まれる可能性が高いことになります。

まず、筆頭には東に八角部屋所属の北勝富士関、西に湊部屋所属の逸ノ城関が座ります。この2人は共に先場所で2桁の白星を挙げる大活躍を示し、特に北勝富士関は11勝で技能賞を獲得しており、この場所後の新三役昇進が期待されます。逸ノ城関も3年半ぶりの帰り三役を狙うことになります。

2枚目は東が尾車部屋所属の嘉風関、西が佐渡ヶ嶽部屋所属の琴奨菊関のベテラン力士となっています。共に先場所は三役の番付でしたが、6勝しか挙げられず平幕の番付で再起を図ることになります。琴奨菊関は昨年の、この初場所までは大関の地位を5年間経験した実力を持っており、嘉風関もここ2年間は安定して幕内上位の番付に定着して土俵を務めています。いずれも三役返り咲きができるかが見所です。

3枚目は東が九重部屋所属の千代大龍関、西が春日野部屋所属の栃ノ心関となっています。千代大龍関は先場所、前頭2枚目でしたが7勝止まりになったのに対し、栃ノ心関は前頭6枚目で9勝をあげて、この番付になりました。いずれも過去に三役まで昇進したことのある力士なので、返り三役をかけて挑むことになります。

4枚目は東が時津風部屋所属の正代関、西が峰崎部屋所属の荒鷲関となっています。共に先場所は8勝以上の勝ち越しを決めて、この幕内上位の番付に戻ってきました。正代関はちょうど1年前に関脇を経験しており、もう一度三役を目指す場所となります。一方、荒鷲関は自己最高位の前頭2枚目以上に上がるためのステップの場所となりそうです。

これらのように幕内上位の番付にはこれから期待される力士から三役復帰を狙う力士、さらにはベテラン力士の活躍などが楽しみな顔ぶれになったと思います。

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平成8年生まれの若手小結力士に期待できる可能性がある

ここまでは幕内上位の番付について紹介しましたが、その中から小結の2人について詳しく紹介します。共に平成8年生まれですが、貴景勝関は85日、阿武咲関は74日なので、名古屋場所で年齢が分かれることになります。

まず、今場所から新小結に上がった貴景勝関は、相撲の強豪校の1つの埼玉栄高校出身で、3年生の時に世界ジュニア相撲大会の無差別クラスで優勝する実力を有していました。本人の強い意志などから卒業半年前に入門しました。角界に入門すると廻しを取らずに攻めていく突き押し相撲の強みが活かされる形で、入門1年半で関取の座を掴み、ちょうど1年前に新入幕を果たすと半年後には幕内上位の番付に定着し、先場所は日馬富士関と稀勢の里関から金星2つを獲得して連続の殊勲賞を獲得するほどの大活躍を見せました。そして今場所で新三役昇進を果たすことができました。貴景勝関は相撲内容だけでなく、性格も横綱相手関係なく自分の強みの突き押しで攻めるなどの強い方であり、所属部屋が大変な時期ではありますが、そのような部屋の雰囲気にのまれる心配をする必要は少ないと考えられます。今場所も先場所のような強い意志で突き押す内容が見られそうで、期待できる力士の1人です。

一方、先場所に引き続き、西小結の番付となった阿武咲関は、地元の青森県内にある高校を中退する形で、ちょうど5年前の初場所で角界入りしました。角界に入門すると中学1年生の時にベンチプレスで驚異の165kgを記録するほどの強い上半身の力を活かした突き押し相撲が活かされる形で、入門丸2年で関取の座を掴み、昨年の夏場所で新入幕を果たしました。そこから3場所連続で2桁白星を挙げる史上初の記録を残すことができました。先場所は8勝で勝ち越しましたが、前半に組まれた上位戦では上半身が前のめりになって落ちてしまうなどして、殆どの星を落としてしまう課題も見つかりました。今場所は、この課題を修正すれば星が伸びる可能性があり、強みが確実に上位力士に対して通用するかどうかが見所の力士となっております。

学生時代の実力者力士も引き続き活躍するか

先場所は、北勝富士関や貴景勝関のように大相撲界に入門する前から実績を上げた力士たちが活躍した場所でもありました。ここでは、その北勝富士関と嘉風関に焦点絞って紹介したいと思います。

まず、北勝富士関は地元の埼玉栄高校に進学して実力を上げていき、高校横綱のタイトルを獲得しただけでなく、続く日本体育大学の相撲部では2年制の時に全国大会の個人タイトルを複数獲得する実績を上げ、3年生の時には国体横綱に輝きました。角界に入門すると、この実力が直ぐに開花させる形で現れ、負け越すことなく入門して1年余りで関取の座を掴み、2場所後にあたる一昨年の九州場所で新入幕を果たしました。そして半年前からは、肘を脇につけながら相手の肘を外側から強制的に上へあげる技であるおっつけを活かした突き押し相撲の技術をモノにできたり、前回しを掴んで寄って出るなどの組んで攻めていくことができたりすることによって、幕内上位に定着して活躍できるようになり、この各場所で横綱から1つずつ金星を獲得する実績を残し、先場所は初の三賞を獲得しました。今場所も、これらの強みを活かした内容で白星を積み上げていけるかが注目されます。

一方、嘉風関も地元の高校から日本体育大学の相撲部に進学し、3年生の時にアマチュア横綱の称号を獲得した実績を有しています。角界に入門して1年半後に関取の座を掴んで、丸2年で新入幕を果たすなど、強みの突き押し相撲は早くから開花していました。ただ、安定して幕内上位の番付に定着できるになったのが、32歳になってからで遅咲きのタイプです。そして35歳で迎えた昨年は、鶴竜関から金星を獲得した春場所を境に次の夏場所から4場所を安定して三役の地位を務めることができ、うち2場所で技能賞を獲得する活躍を見せました。先場所も白鵬関から白星を挙げるなど活躍しましたが、平幕力士を中心に星を落としたのが痛く、今場所は平幕に下がって土俵に上がりますが、強みを活かした相撲を安定的にとって36歳での三役復帰ができるかが楽しみな力士です。

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昨年土俵を沸かした宇良関と今場所入門力士の納谷幸之助さんとは

今場所における焦点がもう2つあり、共にテレビなどのメディアでも取り上げられるほどの話題にもなっています。それは、宇良関と納谷幸之介さんに関することです。

まず、先場所休場した宇良関ですが、関西学院大学から角界に入門までの間、中学生まで打ち込んだレスリングと相撲のスポーツ経験を積んできた力士で、撞木反りや居反りなどの反り技や足取りといった珍しい決まり手とそこに至るまでのアクロバティックな相撲内容で一躍人気力士の仲間入りを果たすことができました。これらの内容は、先述した両方のスポーツ経験が活かせたからこそできたものであり、幕内上位の土俵でも、このような内容で観客を沸かすか期待されていたものの、半年前に本場所中の取組で負った右膝前十字靭帯の怪我の程度が重く、先場所や冬巡業を全休してしまいました。このため、今場所は十両11枚目の番付で相撲を取ることになりますが、怪我の完治は厳しいという声もあります。このため今場所も出場して復帰できるかどうかが心配されます。

そして、今場所から角界入りする納谷幸之助さんは平成122月生まれの17歳で、父親が元関脇貴闘力関、祖父が昭和の大横綱の1人である大鵬関という相撲一家に育ちました。このため小学校から本格的に相撲に打ち込み、去年は強豪校の1つである埼玉栄高校で国体優勝の実績をあげるほどまで実力を蓄えてきました。そして大鵬部屋をルーツとしている大嶽部屋に入門して初土俵を踏むことになります。ちなみに父親は7年半前まで大嶽部屋の師匠を務めていました。納谷幸之助さんは体格も身長190cm、体重160kgで恵まれており、強みの押し相撲がどこまで通用するかが楽しみな若手力士の1人です。

まとめ

このように、今場所も幕内上位には実力者から若手までが揃う顔ぶれとなり、白熱した土俵展開が期待できる場所になりそうです。また紹介した6人の力士に関して注目することで、この初場所を、さらに面白く見られる機会が得られるかもしれません。