相撲の取り組みの見方について

2017年11月1日

大相撲の見かた (平凡社新書) | 桑森真介 |本 | 通販 | Amazon

相撲観戦方法は色々ある

大相撲を生やテレビ放送で観戦する際には色々な見方があります。本場所では朝早くから序ノ口力士など番付が低い方から順に取り組みが進み、実に9時間程度相撲を見ることができます。1日当たり約160番の取り組みがあり、テレビで見られるのは総合テレビの場合、最大でも2割ほどです。その1番1番ごとに見方が違ってくると思います。また、観戦スタイルも、それぞれで、石浦関のような体の小さい力士に同情したり、自分の故郷や年齢の近い力士や現役時代に好きだった親方が育てた力士に対して親近感が沸いたりして応援する方法や、星取表にマークを付けながら進めたり、あまり興味のない取り組みの時間を使って新聞を読むなど自分の時間に使ったり、生で観戦する際、その場の音や雰囲気を味わったりするなど、力士など人間に関係ない面として楽しむ方法などが挙げられますが、今回は力士の繰り出す技など、内容に着目した取り組みの見方について取り上げたいと思います。

本場所は力士の試験会場である

力士はプロのスポーツ選手として毎日の稽古を熟しています。そして、培った力を年6回の本場所でぶつけて、その成績を基に次の階級が決まる流れです。本場所の取り組みは力士たちがテストしている様子を一般公開する場所であると言っても良いと思います。また、地方巡業や福祉大相撲などの花相撲は成績には加味されませんが、普段の稽古や実力を一般公開する機会で、いわば小学校の授業参観に近い位置づけです。

力士のタイプ分けについて

まず、相撲は体を密着させて取る方が得意なタイプと苦手なタイプに分類され、前者の場合は相手の脇に腕を入れたり、廻しを取ったりして相手との距離を近づけてから、技を仕掛けたり、一気に土俵の外へ走り出すことが多いです。このタイプの力士は上位力士に多く、現在の横綱・大関の7人が例として挙げられます。逆に後者の場合は、とにかく相手を押すことによって距離を遠ざけることが多いです。このタイプの例としては関脇玉鷲関や平幕の琴勇輝関など、得意技で突き・押しなどと紹介されている力士が該当します。

前者は、さらに左四つと右四つに分類されますが、これは相手の脇に自分の腕を差し入れた方が左か、右かで決まります。そして、寄り・投げの得意パターンに分類されますが、これは先述した分類で、技を仕掛ける方が投げ、土俵の外へ走り出す方が寄りを得意技として紹介されており、例えば第71代横綱鶴竜関は投げ、第70代横綱日馬富士関は寄りを得意としています。ただし、遠藤関のように突っ張りと寄りの両方を得意としている力士もいる上、左四つを得意としている力士が右四つでも十分に相撲が取れるケースもあるので、あくまでも参考程度に止める方がよいと思います。

面白いと感じた取り組みの瞬間について

実際に取り組みを見るとき面白いと感じるのは局面が大きく動く瞬間と、力士の心情が少し垣間見える場面に出会えた時ではないかと思います。前者の例として代表的なのは、巻き替えという、お互いが四つに組み合っているときに指している腕の上下を変える行為をした瞬間で、これを行った後は直ぐに土俵の外へ走り出すことがセオリーとされているため、高確率で展開が大きく変わります。直ぐに走り出す必要がある理由としては腕を変えた瞬間は空間が開いて自分にとって不利な状況に陥る危険性が高いからとされています。後者の例では、土俵際へ攻めている力士が上半身だけで押している瞬間があり、この場合は「もうひと押しだ。これで勝てるぞ」と喜んでいる心理状況になっていること多いため、自分の足が前へ出ていないことに気付いておらず、それを知っている相手が体を離れて回り込み、横側についてから叩き込んだり、廻しを掴んで土俵の外方向に引っ張ったりすることで土俵の中で落ちたり、そのまま土俵外に出てしまい逆転負けを喫するというケースが多いです。

また、心理という面を考えると、予測するのは難しいですが、勝負が始まって直ぐに横方向に回り込むなどして真っ向勝負を避ける注文相撲がある点も面白いところの1つです。

これらのように、取り組みがセオリー通りに事が進むときと進まないときはあるものの、ある程度、傾向を知ることで面白みが増すのではないかと思います。